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15 Dec,2001

音楽

blog music

「しつないがく」の話を書いてみてから、 どうして「おん''がく''」は「楽」なんだろうと気になって仕方ありません。 そういえば_「文楽」ってのもありますねぇ。 あの人形使った芝居です。 これは文章を楽しむことが語源に違いないと思い、 勝手に納得してたのですが (どうして人形を使うかということはさておき)、 岩波国語辞典を見てみたら、 「寛政年間、植村文楽軒が文楽座を立てて操芝居を行ったことから」 とありました。 というわけで「文楽」の名称は個人名が由来_で[1]、 残念ながら文学とは関係無さそうです。

「楽」 という文字は_古事記にも出て来る言葉で、 その当時は「アソび/ぶ」と訓読みして、 同じように読む「遊」と同じような意味をもってたようです[2][3]。 で、その昔「アソビ」とは 「神様への祈りや鎮魂の儀式の際に歌ったり楽器を鳴らしたり踊ったりすること」を指したそうです[4][5]。 さらに、この儀式での歌舞としての「アソび/ぶ」という言葉の起原を遡ってみると、 神様をアソバせるという意味が由来のようです。 ここで「アソブ」ってのは 「神としての行為を行なう」(神様しかできないことをする)_ことらしく[2]、要は神様が天地万物を治めるようなレベルのことをするこ とらしいです。 なんだかえらい壮大な話になってまいりました。

神様が「アソブ」度合いがすぎると 「スサブ」となって 非力な我々人間なぞにはどうしようもない困った状態になります[2][3]。 今は昔の古事記のお話では、 _スサノヲのミコト_が 「スサブ」もので、 ショックを受けた(?)_アマテラスオオミカミ_は天の岩戸にこもってしまい世の中真っ暗となりました。 そこで困った神様が集まって、_アメノウズメのミコト_が舞踊って 「アソブ(楽ぶ)」と、 _アマテラスオオミカミ_が世の中を再び照らし 「アソ(遊)バシタ」ってぇわけです。 つまり、古事記の世界では、

「楽ぶ(アソぶ)」とは世の中を異常事態から日常の状態にもどす

という「アソビゴト」なわけです[3]。 これぞ_まさしく神技_でございます。

さらにつらつら考えると「神楽」ってのがありますね。 「神楽」はそもそもは「かぐら」でなく 「かみあそび」と呼んでたという説があるそうで、 まさに_アメノウズメのミコトのごとく 「歌や踊りで神様をアソバせる」_というのがそもそもの意味だそうです[2][4]。 そういえば、西洋での音楽の発展も、教会音楽としての発展の占める割合はとても大きいですね。 キリスト教での音楽の位置づけってのはどういうものなのでせう?

今でも「楽」というと 「楽器を演奏する意味(器楽、楽器、楽曲...)」 と共にいわゆる「楽しい」、 「心身に苦しみが無く安らかなこと」[6]といった意味があります。 「楽」がそもそも _「世の中を平穏にする神の力」であり、 また、「神に平穏を願う歌舞い」_であったのを考えれば、 「楽」のこれらの意味はそもそも同じ起源って言えますね。

さてさて、お題の「音楽」に戻ると、 「楽」の語源を遡って考れば、

「音楽」とは「音」で「世の中を平常な状態に戻す奇蹟を起こす技」

って言えそうです。 こうなっては、「趣味は音楽です」などとは口がさけても言えませぬ

ついでながら、もうお気づきでしょうが 「○○様が××あそばしたまふ」ってのも語源は、 「アソブ」と同じようです(擬人ならぬ擬神的用法ですね)[2]。 それでは皆様ゴメンアソバセ

  • 文楽の歴史
  • 〈遊〉について
  • 〈遊〉の三つの次元
  • もや(喪屋)
  • 時代別国語辞典 上代編
  • 岩波国語辞典

  • 追記1) 半分くらい思い込みや勘違いが入ってるかも知れません。関連する情報あれば教えて下さい。
  • 追記2)「音楽」という複合語自体の起源はよくわかりませぬ。
  • 追記3)「音楽」の「楽」でこんなにはまるとは夢にも思わなかった...

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